富久長 | 今田酒造本店


わたご酒店では定期的にお取引のある酒蔵さんにお話を伺っていますが、これまでは私たちが聞いて終わりになっていた情報を皆さまにも知っていただくために新しく投稿を始めます!

 

第1回目は、きれいな香りと口当たりが柔らかいことで人気の「富久長」を醸す広島・今田酒造本店の杜氏・今田美穂さんにお話を伺いました!

 

わたご酒店と今田酒造本店さんのつながりは、

わたご店主が東京で修行していた今田商店さんの本家が今田酒造本店というところにあります。

 

バブルの頃には東京にいた美穂さん、

舞台表現のお仕事もされていましたが、

自分を表現するための一つとして27年前にご実家に戻られました。

 

目指すのは「広島杜氏の伝統を大切にした瀬戸内の穏やかな風土を感じる酒造り」

 

今田酒造本店さんが位置する東広島市安芸津(あきつ)地域は「軟水醸造法の発明された場所」であって「吟醸酒誕生の地」、そして「広島杜氏発祥の地」!

 

今の日本酒は軟水で作られるお酒が主流となっていますが、

昔は、発酵を促す成分(ミネラル)の多い硬水で酒造りをすることで、早くアルコールを着かせることで、雑菌汚染なく良い酒ができると言われていました。逆に広島のような軟水の地域では腐造になるなど美味しいお酒を作ることはかなり難しかった!😭

 

「じゃあそんな軟水でどうしたら美味しいお酒が作れるんだろうか🤔」と考え、軟水での醸造法を生み出した人がいました。

それが醸造家・三浦仙三郎さん

 

彼が何に取り組んだのかというと

・当時は珍しかった温度計を用いることで酒造りを科学的に記録すること(それまでは「肌感覚でこれくらい」しか温度の共有がされず各々で違っていた!)

・広島県杜氏組合を作り、セミナーや勉強会を開催することで情報をオープンにし、広島杜氏を育てること

 

結果、成し遂げたのは「長期低温発酵」の確立でした。

軟水であっても、低温でゆっくり発酵させることで安定的にきれいなお酒ができるようになりました。現代では当たり前になった軟水仕込みは広島で誕生したということですね!

 

彼の学びをもとに研究が盛んになり、生まれた技術が「精米」🌾日本で初めて動力精米機を作ったサタケさんの本社は同じ東広島市の西条にあります。

(富久長「扁平精米」「原形精米」という精米方法違いのシリーズはサタケさんとの協力から誕生しています)

 

このように「今までなかった動力の精米技術」の発展と、「長期低温発酵」によって、広島が「吟醸酒誕生の地」となったわけです!すごい!

 

広島は軟水醸造法を武器に、三大銘醸地に仲間入りすることとなりました。

 

その後この地域では酒造りが発展したため、美穂さんがお子さんだった頃は、半分くらいのクラスメイトのご両親がお酒関係の仕事をされていたり、30家庭ある中で杜氏が31人いる、くらいのすごい密度だったそうです!😳

 

そのため、今田酒造本店が目指すお酒は!

 

美穂さんが個人的にどういうお酒が作りたいかというよりも、安芸津の方々が脈々と繋いできた、素材の味わいを大切にする瀬戸内の食文化に寄り添い続けるお酒!🍶

 

もう一つ富久長さんの大きな特徴の一つ!

それは、広島で最古の在来品種「八反草」というお米を使っていること。この「八反草」を使う酒蔵さんは全国で唯一富久長さんだけ!使う理由は、広島の地で自然の力で育ってきたお米を使うことで、お酒の味わいに広島の風土を反映できるのでは、という思いからです!育てるのも扱うのも難しいお米ですが、今は造るお酒の4割ほどは「八反草」で醸されています。美穂さんの地元への熱い思いを感じます✨

 

今田酒造本店で働いている方は25歳の女性の方(サンゴと同い年😊)や、超優秀な大学を卒業された方、海外から来ている方、代々杜氏をした家庭ご出身の方などかなり多種多様!それぞれが挑戦したいことをやってみるために、生酛に挑戦など毎年新しいことに取り組んでいます!

 

広島は海も、山も、つまり牡蠣などの海の食材も山菜などの山の食材も、そして柑橘類も年中あるというすごく羨ましい環境ということも学びました。

 

美穂さんは気さくにいろんなお話をしてくださる素敵な方でした、お会いしに、広島へ行きたいです!

 

サンゴ