当店スタッフが定期的に行う造り手の方との交流の中で、発見した魅了を文字起こししてお伝えするWatago meets
第3回目は、超軟水で仕込む口当たり柔らかで優しい甘みと旨味の広がるお酒「月山」を醸す吉田酒造・吉田智則さん
蔵が位置するのは島根県安来市。
スタッフ山後は入社前の3月に蔵を見学させていただきました。蔵はあの日本庭園で有名な、足立美術館のすぐ近くでした!綺麗な景色が続く一本道を進んでいると、どこからも見える山「月山」がドーンと位置しています。それが皆さんご存知!吉田酒造さんの銘柄「月山」の由来になっています⛰
「月山」を始めて飲んだ時、とっても口当たり柔ら
ホワホワ〜っと口の中で甘みと旨味が広がって
「美味し〜〜!」と感動したことを覚えています。
どうしてあの味わいが出てくるのでしょうか?
蔵元の吉田智則さんに聞いてみました!
「超軟水で仕込む月山」
月山を仕込む水の硬度はなんと、0.3
このおそらく日本で一番軟らかい仕込み水を
使っているのは3代前からだそうです
もともと使われていた水も軟水でしたが、
おじいさんの代の時に、
「もっといい軟水があるらしい、、」と情報をゲットし
文献を辿りながら大学の地質学の先生と調べに行くと、
ある井戸からとてもいい水が湧いていたんだそうです!
それが今の仕込み水!
ただ、その水は軟水すぎて最初は別の場所から硬水を汲んできて
湧いている軟水と混ぜて使っていたそうです。
が、、、
日本酒を作るにあたって、
(自社で育てていない場合は)お米は他から運んできて
水までさらに他から汲んで運んできていたら
蔵の存在は「工場」としての機能に留まってしまい、
つまらないよね、、、と吉田さんは考えました。
例えば、ワインを作る時って、葡萄を長距離運ぶことは
なかなか難しいのでワイナリーの敷地内や地域内で
育てて、そのワインの個性を出したりしますよね!
そういった魅力を日本酒で出せなくなるのはとても悲しいということで、自社に湧く水・超軟水だけで酒造りをすることを決意!
それが10年ほど前の話です。
ただし、広島で初めは軟水醸造が難しかった歴史からわかるように、さらに軟水で醸すのは超大変!
軟水には硬水に比べミネラル分が少ないので、
軟水で仕込む時に、温度を上げて発酵を旺盛にさせてしまうと、酵母が食べる栄養分が少なくなり、途中で酵母が死んでしまい、発酵がうまく進まないのです。
そこで、まずは冷蔵設備を整えることから始めたそうです。
冷却することで、発酵を抑えて、
ゆっくり、ゆっくり発酵を進めていくことが必要なんです!
この造り方、吟醸造りで取られる方法ですね!
つまり、月山のお酒は全て「吟醸造り」が行われているとも言えます!
吉田さんが蔵に戻って今18年目くらい。
それまで蔵では熟成系のお酒を作っていたんだそう。
吉田さんが戻ってから今の月山のお酒の味わいにシフトチェンジ!
今のフレッシュな、フルーティーな良い香りがする味わいに180度変えたそうです!
どうしてかというと、、、
もともとお酒をたくさん飲む体質ではない吉田さん本人。
蔵に戻ってから自分が飲める、美味しいお酒を作ろうと
酒質設計をゼロから始めたそうです!
🧒🏻「とてもチャレンジング!」
さて、最近話題の「イノベーション」シリーズ!
これは吉田酒造の杜氏・足立杜氏が思い切って
挑戦したいことをやってみるお酒のシリーズ!
今年挑戦したのは「4mmp」という
爽やかな白ワインのように、すごく清らかな香り。
日本酒では普段そこまで出てこない香りですが、
2年ほど前くらいから「日本酒でも4mmpを出すことができる!」と話題になっている香りです!
わたご酒店に入荷している月山イノベーションは「五百万石」を使ったものですが、他にも「春陽」を使ったり、「春陽」「五百万石」をミックスしたものがあります!
「春陽」というお米、初めて聞きました!
これは、低グルテリン米!酒米ではなくて、病院食やアレルギー対応で使われるお米なんですが、従来のお米とは成分が違うため、酒造りに使うと他とは違う香りが出る、ということでチラホラといろんな酒蔵さんで使われ始めているようです!
10年前から「春陽を使うとすごい香りがする、、!?」という噂があり、最近話題を集め、これからかなり注目されそうなお米、要チェック!
(と言っても、今回春陽が使われたイノベーションは即売り切れてしまい、、、入荷できませんすみません!😭)
実は今回他にもたくさんのことを聞いたのですが、
書ききれませんでした😭
吉田さんは学生時代には鳥人間コンテストに出ていたり、
大学卒業後は飛行機に関わるお仕事をされて
退職後、吉田酒造さんに戻るまでの2年間は
オーストラリア・シドニーに行かれてました。
今回書ききれなかったことも含め、
とても広い視野で考えフットワーク軽く挑戦される吉田さん。
今年・来年とまた酒造りに関わる大きな変化があるようで、
変化後の味わいもまた一段と楽しみです!